プロフィールにも書きましたが、新卒後に3社の日系メーカー企業を経験。後に、外資メーカー企業へ転職した個人の意見としての外資企業で働くメリット・デメリットまとめです。
外資系メーカー企業のメリット
1.年収が高く昇給も早い
やはり、一番に感じるメリットは給与水準は日系企業に比べ高い。
私の2社目・3社目は、一般的に大手と呼ばれる日系企業の車業界のメーカーでした。1社目はカメラ業界のメーカー(ちなみに1社目も日系企業)から車業界への転職ということもあり、提示年収は前職に対して30万円up。2社目から3社目へは同業界の車業界での転職で、50万円up程度。対して、3社目から4社目の外資企業(2・3社目と同様に車業界)提示年収は、100万円up。残業時間30時間込みでの提示金額であるため、超えた分の残業時間を含めると3社目から4社目の実質年収upは180万程度。
また、外資系の方が年間の昇給額が高いです。というのも日系企業では相対的評価/勤務年数ベースでの評価で昇給されていたのに対し、外資系ではパフォーマンスに対する評価に比重を置いているからです。そのため抽象的な言い方になってしまいますが、まともに働いていれば日系企業の昇給額に対し外資系企業の方が高い昇給額を望めます。
2. クビ・解雇はめったにできない
私自身外資系に入る前までは、従業員のクビ・解雇は日系企業に比べて当たり前にあるものだと思っており、そういった面も含めて、海外の人たちは転職の回数が多いのかなぁと漠然にイメージしていました。しかし、日本国内で事業を行う上では外資系であろうとも日系企業と同様の労働契約法が適応されるため、企業側も正当な理由なく簡単に従業員をクビにすることはできません。私の周りで評価が低い管理職の日本人が何人かいますが、スタッフが外国人のマネージメントレベルへ何度もエスカレーションしているにもかかわらずクビ・降格などの対応をされていません。外資系であっても相当な理由、無断欠勤や社会人としての行き過ぎた行為などがない限り、クビなどの対象にはなりません。もちろん、日系企業に比べ外資系では高いスキルを求められますが、日系企業でも適応できないようなレベルの人材であっても長く働いている人は少なくないというのが現状です。
3. 社内の他部署との連携がスムーズ
私は営業職ということもあり、対客への交渉等に向けて社内調整をする事が仕事の半分以上を占めていたりします。営業職に限らず、日系企業で働いている人は多かれ少なかれ社内調整は必要かと思いますが、その際に日系企業は年功序列・役職に対する気遣いがかなり必要になります。日系企業では、業務とは直接関係ない社内営業(飲み会の幹事・ゴルフコンペ等々の社内接待)をうまくこなす人間の方が評価が高かったりもします。
年功序列が強い会社だと、体育会系のノリが強く年下・役職の低い人間が論理的に正しい事を言っていてもまともに取り合ってくれないなど頻繁に起きます。日系企業では年上の役職がロジックの通らない会話をしていても、反論すらできないのに対して、外資系企業は基本的に年齢・役職にとらわれずロジックの通った会話・社内調整を行えばスムーズに事が進む事が多いです。結果的に自分の進めたいように社内をまとめる事が容易であると感じています
とはいえ、外資系企業であっても日本人は少なからず働いていますので、最低限の他部署へのアプローチの仕方・マナーというのは求められますが、基本的にはかなりフランクで会話を進めやすいのが外資系企業の特徴です。
4. 裁量が大きくある程度自由に仕事ができる
日系企業では小さな事でも毎回上司の許可をもらわないと業務を進められなかったり、出張・在宅等も上司の判断次第で許可が下りない事が多々ありました。ひどい時には他部署の状況と比較され仕事内容が異なるにもかかわらず理不尽で無駄な対応を求めらる事が多々ありました。外資系では、業務をしっかりさえ行っていればかなり自由に仕事ができます。
具体例でいうと、以下の事が上げられます。
i) 対顧客に対する日々の対応は基本上司の許可なく進められるので、上司への報告をしないor事後報告で進められるので、無駄な社内調整は不要です。(もちろん、費用が大きくなるようなプロジェクトの場合は相談・承認要です。)
ii) 出張などは年間個人予算が設定されているものの、国内出張であれば気軽に上司の許可なく出張でき事後報告でOK。海外出張はさすがに事前承認要。
iii) 在宅においても場所に縛れらることなく家やカフェなどのネットがつながり連絡が取れる場所であればOK。出社時もお客さん対応でなければ洋服の規定はなく私服出社でOK。(私は古着好きという事もあり、ジーパン・ネルシャツなんかで出社したりしています。)髪型も規定なく、営業マンには少ないですが、かなり奇抜な髪型でもOK。
iv) スーパーフレックスが基本で、何時から仕事を開始・終了させても大丈夫。(とはいえ、客先・社内会議などあるのである程度の常識的な時間で仕事をする事にはなります。)
外資系メーカー企業のデメリット
1. 実力主義
メリットでもありデメリットでもあると思いますが、基本的にはある程度一人で業務を遂行できる実力がないとやっていけません。外資企業は、本社が海外にあり日本は支社であることから日本の支社は本社に対して少数精鋭の組織となります。そのため、業務を進めるにあたってなんでもかんでも上司に相談できるような時間もないため、自分自身で考え業務を進められるような能力が必要になります。対客先及び社内の会議で上司なしで一人で会議に参加するなどもよくあるので、現在の業務状況を把握しながら論理的に物事を説明できる力が必要になります。
2. 客先と本社の間で板挟みになる
外資系の日本支社は顧客が日系企業になるので、日本人が納得するような仕事の質が求められます。例えば自社理由で顧客先に対し何か問題が発生した場合、原因の解明とそれに対する対応策をほぼ同時に求めらるのが日系企業では一般的です。その際に、”残業してでも何とかする”というのが日本人の根本的な考えになるのですが、外国人の場合“残業をしないで極力対応する”が根本的な考え方です。そのため、海外の本社側に問題を挙げたとしても本社側の動きが遅く、日本支社側で顧客を満足させるような対応をせざるを得ない状況になります。日本人の企業文化的に事細かに内容把握をしたがる傾向にありますので、その分日本支社主体でより多くの情報を集めて客先への対応ストーリーを考えなければなりません。日本人特有の細かさというのがなかなか海外の本社には伝わりづらく、顧客の日系企業と海外本社との間で板挟みにあうケースが多発します。
3. 人の入れ替わりが激しい
海外の人たちは転職してキャリアップしていくというのが一般常識です。そのため、新卒で1社に長い間留まるような人というのはかなり稀です。同様に外資で働いている日本人も日系企業で働いている日本人より転職回数はかなり多く、私の日本人の同僚30~40代前半で3回~4回程度転職を経験している人が多いです。そのため、基本的に十分な仕事の引継ぎがされない状況で新しくアサインされた人が業務をゼロから始めなければならない場面が多発します。客先状況や社内状況の確認から始めなければならず、転職組の場合は知り合いもいない状況からキャッチアップしないといけないため軌道に乗るまでにはある程度時間が必要になるかと思います。また、海外の本社側の同僚については日本支社以上に入れ替わりが激しいので新しい人が入ってくるたびにこれまでの経緯説明を求められることとなります。
メリット・デメリット まとめ
一個人の意見ですが今や新卒で日系企業に就職後、定年まで同じ会社で働く事にあまりメリットがないと思ってます。多くの日系企業では未だ年功序列の評価が根強く、長期間年収upが見込めない・上司のパワハラや部署の状況によりやりたい仕事・キャリア構築が難しいなど、まじめに仕事をしている人にとって、日系企業ではモチベーションを維持するのが難しい環境になっていると思います。対して外資系は、給与は年齢にとらわれずパフォーマンス基準で上がっていきますし、Yes, Noをはっきり社内に伝えられるため自身のキャリア構築に直結する働き方がでます。
ただし、その反面外資系ではそれなりのスキルセット(語学力・業界知識・推進力)が求められる事や社内・外からのプレッシャーがある事、本記事に書いてあるデメリットがあるのは事実ですので、その点は考えに入れておく必要があります。